前回のメニューブックの続きです。
前回の内容を見ていない方はこちらをご覧くださいませ。
メニューブックに手を打つことでどれだけ飲食店の利益を生み出せるのか考え方を書いております。
前回の内容で、メニューブックの役割と改善幅の説明をしました。
今回はファーストフードと居酒屋を例に挙げて実際のお客さんの来店をイメージして内容まとめています。前回、記事でメニューブックを改善すると利益が5%以上改善すると記載してます。
看板料理に原価を50%以上かけても、お店の原価率を25%以下にする考え方が期されてます。参考にしていただければ幸いです。
なるべく「仕組み」で改善する
「仕組みで」でというのは、「メニューブック」のことです。
前回の記事からも散々言ってきましたが、メニューブックを改善すれば、利益が改善されます。それをやらないのはもったいないですし、接客(人間の力)だけでも効果は半減してしまいます。
いいメニューブックがあれば、接客はの品質はさらに上がります。素晴らしいスタッフの方々がいるお店もありますが、力を入れるなら、最初にメニューブックをいい感じにしておくのがいいです。
ある意味、実社会で例えると
■接客(スタッフ) ≒ 営業マン
■メニューブック ≒ 営業ツール
このような関係だと思います。自社の商品を売る為にはどちらも必要ですが、営業マンの能力には波があります。営業ツールがしっかりしてれば、Webに載せておくだけでも商品は売れる訳なので、ここに手を入れたほうが効率的と言えます。
出数のコントロール
まず、飲食店の流れについて整理すると大体このような形
①お客さんが来店する
②席に案内する
③メニューを選ぶ
④注文する
⑤料理を作る
⑥料理を届ける
⑦食事する
⑧会計する
こんな感じかと思います。※”大体こんな感じ”くらいで捉えてください※
この項目の一つ一つを見直すと、収益は上がるのですが、今回は③④です。
この時、何が選ばれるか?で一組当たりの売上が変わります。
それと同時に何が頼まれるかによって、原価率・人件費・客単価・顧客満足度も変わります。
ここをある程度コントロールできていれば、お店の収益性は上がります。あと、安定もします。
ファストフードで言うなら、ハンバーガー単品が出るより、セットにして出したほうが単価も原価率も良くなりますよね。それと同じです。
それをコントロールする肝が”メニューブック”ということです。
接客でもコントロールできなくはないのですが、人は何か関連するものを見ながらの方が概ね物事を決めやすいですし、接客ってどこまでいっても人がやることです。
ロールプレイング(練習)通りにいかない場合もありますし、急に混んでしまって思ってた対応ができない場合もありますよね。
でも、メニューブックでコントロールできる状態を作れていれば、誰が接客しようと、もしくはだれも注文時に接客で立ち会えなくても、
こちらの意図したメニューがある程度出ます。
うまくいけば、商品を変更しなくても、ポーション(材料の分量)を変えなくても利益率を大幅に改善できます。
大げさではなく、何もしてなかったお店であれば5%以上改善することも難しくありません。
客単価と原価率が改善される理由
客単価と原価率が改善される理由は、先ほどのファストフードの例が分かりやすいと思います。何もせず、ハンバーガー単品が出るより原価率の低いポテトとドリンクつけて出したほうが客単価が上がり、原価率は下がります。
数字にしてみるとこんなイメージです。
前提条件
・ハンバーガー、ドリンク、サイドメニューを作る設備は両方有してる。
・ハンバーガー単品200円(原価60円で原価率30%)
・ドリンク単品2000円(原価20円で原価率10%)
・ポテト単品150円(原価30円で原価率20%)
・ハンバーガーセット500円(原価110円で原価率22%)
こんな時、
単品でハンバーガーだけ100個売れたら、その日の粗利は
売上(20,000円) = バーガー(200円) × 販売個数 (100個)
原価(6,000円) = バーガー(60円) × 販売個数 (100個)
利益(14,000円)
では、セットだけ40個売れたら
売上(20,000円) = セット(500円) × 販売個数 (40個)
原価(4,400円) = セット(110円) × 販売個数 (40個)
利益(15,600円)
こうなります。売上一緒ですが、客単価上がって、原価率が下がり、結果利益が上がった極端な例です。
原理はこんな感じです。これをメニューブックで誘導できればいいと思います。
これを接客だけでやるのはおそらく難しいと思います。以前、マックがカウンターにメニューを置かない時期がありました(私が勝手にそのように認識してるだけかもしれません)が、しばらくしてやめて、今はカウンターにちゃんと置いてあります。多分狙った通りにいかなかったんだと思います。
マクドナルドの教育は一流だと思いますが、それでもできないわけなので、接客だけでどうこうするのは難しそうです。
ただ、メニューブックを使って、誘導できると同じ労働でも多くの利益を生むことができます。つまりは生産性が上がったわけです。
客単価と顧客満足度はわかりやすいと思います。
人件費が改善される理由
人件費は?と思うかもしれません。人件費も上の状態が実現できてればおそらく下がります。
上の状態が実現できていれば、営業中のシフトと仕込み時のシフトをおそらく減らせると思います。
営業中から見ていくと、単純に販売数が減っています。
同じ売上20,000円をあげるのにも一方では、ハンバーガーを100個売らなければいけないですが、片方では40個でいいわけです。
100個と40個の差だと、あまりイメージ沸かないかもしれませんが、実際の店舗ではさらに膨大にいろんなメニューが売れていきます。
その時に上の状態であれば、単純に販売数が少ないわけなので、レジをやる人を減らせそうです。店舗によって改善されるポジションは様々ですが、おそらく改善されます。
仕込み時ではどのように改善できるかというと。
これは後で詳しく説明しますが、出る商品がある程度分かっていれば、仕込む量が決まります。
ということは、無駄なもの発注しないで済むのでロスが減りますし、何をどれくらい仕込めばいいかわかるのでそんなに仕込みの時間に人がいらなくなります。
メニューブックに手を打っていないと、何がどれくらいでるかわからないから、全商品をある程度仕込まないといけないわけです。
大体ですが40~60商品、多いところだと100商品を超えるほど、商品があると思います。小売りと違うのはこれを自分の店で仕込まないと営業できないとという点です。
これを全部仕込むのはどう考えても大変です。。ただ、出数がある程度予想されていれば仕込み量もわかります。
実際の所、感覚である程度仕込み量を調整してるって方がほとんどだと思いますが、意図してコンロトールするのでより分かりやすくなると思います。
顧客満足度が改善される理由
ここまでコントロールするって言い続けたので、原価の低い商品ばかりだすのかと思うかもしれません。原価の低い商品ももちろん出すのですが、そればかりではありません。
お店が出したい看板商品も出します。冒頭から言ってる通りで100%頼まれる世にします。
さらにその商品の原価が50%を超えてても大丈夫です。
ちゃんとメニューブックを作り込めば、結果的に全体の原価率は30%くらいに収めることは難しくないです。
実際、私がいた企業の店舗では、20%前半でやれている店舗も多いです。
結果的に原価が20%前半で収まっていて、お客さんも満足してるならとてもいい状態かなと、個人的に思います。
これを実現する理論としては、メニューミックスという考え方です。
顧客満足度が上がる理由として、お客さんの心理を考える事です。初めて行く店の場合、もしくは何度か行ってるお店でも、おいしいものを食べたいですよね。
そのおいしいものって自分の好きなものの場合もあるし、そのお店が自信をもっておすすめする商品だと思います。
なので、看板料理はマストでお客さんに出したほうがいいです。
ただ、それだけだと原価をかけてるわけなので、お店の利益を圧迫します。なので、原価の低い商品や早くでる商品などをバランスよく出るようにします。
この原価の低い商品が、お客さんの好きな・頼みたい商品であればいいわけです。
お客さんの注文のパターン流れを分析するといいと思いますが、
大体ですが、このようになっていると思います。居酒屋で2名をイメージしてもらうと
お通し×2
すぐ出るおつまみ①
サラダ
定番(からあげかポテト的な)
メイン料理(看板料理)
おつまみ②か定番②
〆料理
ビール2杯
サワー1杯
ハイボール1杯
カクテル1杯
こんな感じじゃないでしょうか?大体6~7商品ほど料理が出て、ドリンク2~3杯頼まれて、一人3,000~4000円くらい。
人の食べれる量、飲める量ににそれほどの差はないので、平均的なところで考えるといいと思います。
大体こんな感じで頼むのがほとんどで、メインばっかり頼む人は少ないんじゃないでしょうか?
この流れをある程度想定して作って置き、それをメニューブックに反映すればいいんです。
このシュミレーションを簡単にしてみると、
お通し350円(原価35円で原価率10%)
おつまみ380円(原価45円原価率12%)
サラダ690円(原価104円原価率15%)
定番590円(原価106円原価率18%)
メイン900円(原価500円原価率56%)
おつまみ450円(原価60円原価率13%)
〆料理500円(原価100円原価率20%)
ビール500円(原価200円原価率40%)×2杯
サワー450円(原価60円原価率13%)
ハイボール450円(原価60円原価率13%)
カクテル550円(原価120円原価率22%)
小数点以下の計算はやや適当ですが、こんな感じとすると、
売上 :6,600円(税抜)
客単価:3,300円(税抜)
原価 :1,555円
原価率 :23.56%
となります。メインの看板料理は56%も原価をかけていてもこうなります。
長々と書きましたが、理論上は原価率はこのくらいに収まります。もちろんお店によって違いますが。
大事なのは、お客さんが食べたいものを自分で選んで食べていることです。
自分で食べたいものを選んでいて、お店としてもそれを自信をもって出せる商品をだせているとしたら、満足してもらえる可能性はあがります。
第2回は、こんな感じです。
次回は、考え方を踏まえたメニューブックの作り方、構成についてお伝えしていきます。
ご要望があれば、個別にお返事もできますので気軽にコメント下さいませ。